お知らせ
2025/04/21 身体的拘束最小化のための指針につきまして
・身体的拘束最小化に関する基本的な考え方
身体的拘束は、患者さんの自由を制限することであり、尊厳ある生活を阻むものです。
当院では、患者さんの尊厳と主体性を尊重し、拘束を安易に正当化することなく職員一人一人が拘束による身体的・精神的弊害を理解し、拘束廃止に向けた意識を持ち、緊急やむを得ない場合を除き身体拘束をしない医療・看護に努めます。
・身体的拘束適正化のための体制
身体的拘束最小化チームの設置
身体的拘束最小化を目的として専門チームを設置し、月1回ミーテイングを開催します。
(1) チーム活動の内容
①身体的拘束の実施状況を把握し、職員・管理者へ定期的に周知徹底する。
②身体的拘束を実施せざるを得ない場合の検討を行う。
③身体的拘束を実施した場合の代替え案や拘束解除の検討を行う。
④身体的拘束最小化に関する職員全体への指導、研修を実施する。
⑤当指針の定期的な見直しと、職員への周知、活用を徹底する。
(2) 身体的拘束最小化チームの構成
院長、事務長、看護師長、病棟主任、医療安全対策管理者、薬剤師、管理栄養士、理学療法士
・身体的拘束最小化に向けての基本指針
(身体的拘束の定義)
抑制帯など患者さまの身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して一時的に患者さまの身体を拘束しその運動を抑制する行動の制限をいう。
身体的拘束その他、入院患者さまの行動を抑制する具体的行為にあたるものとして、厚生労働省が「身体拘束ゼロへの手引き(2001年3月)」の中であげている行為を以下に示します。
(1) 徘徊しないように車椅子や椅子、ベッドに体幹や四肢をひもで縛る。
(2)転落しないようにベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
(3)自分で降りられないようにベッドを柵(サイドレール)で囲む。
(4)点滴、経管栄養等のチューブを抜かないように四肢をひもで縛る。
(5)点滴、経管栄養等のチューブを抜かないように又は皮膚をかきむしらないように手指にミトン型の手袋をつける。
(6)車椅子や椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないようにY字型拘束帯や腰ベルト車椅子テーブルをつける。
(7)立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する。
(8)脱衣やおむつ外しを抑制するために、介護着(つなぎ服)を着せる。
(9)他者への迷惑行為を防ぐために、向精神薬を過剰に服用させる。
(10)行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
(11)自分の医師で開けることのできない病室等に隔離する。
・やむを得ず身体的拘束を行う場合
患者さま又は他の患者さまの生命と身体を保護するための措置として以下3つのすべてを満たす状態にある場合は、医療者複数で協議して患者さまとご家族へ説明・同意を得た上で医師の指示のもと例外的に必要最小限の身体拘束を行うことがあります。
(切迫性)患者さま又は他の患者さまの生命と身体を危険にさらさないこと
(非代替性)身体的拘束、その他の行動制限を行う以外に代替法がないこと
(一時的)身体的拘束、その他の行動制限が一時的なものであること
・身体的拘束禁止を対象としない具体的な行為
当院では在宅復帰を支援する病院として、患者さまの行動意欲を阻害しない関りを行います。
行動を支援する目的や安定した体位を保持するために必要な行為については、身体的拘束禁止の行為の対象としないことがあります。
※車椅子で自力座位を保てない場合の車椅子ベルト
※患者さまが一時的な認知機能低下などの理由で自ら支援を求めることができない場合ナースコールの代替として用いる臥床センサー等(センサーコール)
・身体的拘束を行う場合の対応
緊急でやむを得ず身体的拘束を行う場合は、十分な観察を行うとともに経過記録を行いできるだけ早期に拘束を解除できるよう努力する。また具体的には以下の手順に従って実施します。
①その状態及び時間とその際の患者さまの心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記載します。
②患者さまとご家族に説明を行います。
▪身体的拘束の内容、目的、理由、拘束時間又は時間帯と期間、改善に向けた取組み方法を説明し十分な理解が得られるように努めます。
▪身体的拘束の同意期間を超えて拘束を必要とする場合には、事前にご家族の方へ患者さまの状態を説明します。
▪身体的拘束要件に該当しなくなった場合には、速やかに拘束を解除するとともにご家族に報告します。
・鎮静を目的とした薬物対応
一過性不眠(状況性ストレス)に基本的に監視・睡眠薬は不要です。
眠る状況や環境が変わり、眠れないことは当たり前にあるという考えの下、短期不眠に睡眠薬を使うことで薬の乱用につながる危険があるということを理解したうえで検討します。
不眠の訴えや危険行為の有無を考慮し、医師・看護師の複数で薬剤使用の有無を検討します。
・その他日常ケアにおける基本方針
身体的拘束を行う必要性を生じさせないため日常的に以下のことを取り組みます。
(1)患者さん主体の行動・尊厳を尊重します。
(2)言葉や応答などで、患者さんの精神的な自由を妨げないように努めます。
(3)患者さんの想いをくみ取り汲み取り患者さんの意向に沿った支援を行い、多職種協働で丁寧な対応に努めます。
(4)身体的拘束を誘発する原因の特定と除去に努めます。
・身体的拘束最小化に向けた職員教育
「良質な医療を地域に提供」という理念のもと、医療に携わるすべての職員に対して、患者の尊厳を尊重し、身体的拘束をしない医療・看護の提供に向け、職員教育を行います。
・この指針の閲覧について
当院での身体的拘束最小化のための指針はマニュアルで保管しすべての職員が閲覧できるようにするとともに、当ホームページをもってすべての患者様、ご家族が閲覧していただけるよう公開しています。